前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは

 「前頭側頭型認知症(ピック病)」は、前頭側頭葉性症の一つで認知症の1~10%を占めると言われています。前頭側頭型認知症では、理性をつかさどる前頭葉と言語をつかさどる側頭葉が萎縮するため、感情や行動のコントロールができなくなったり、言葉が理解できなくなったりします。

 とくに前頭葉に強い病変がある場合、善悪の判断ができなくなり、万引きなどの問題行動を起こすようになります。また、 同じことを毎日同時刻に繰り返す 「周かい」などの異常行動も起きることがあります。記憶障害よりも行動異常が先に起こるため、性格が変わったのだろうと思われて見過ごされているケースがあります。

 現在、前頭側頭型認知症には「意味性認知症」、「進行性流暢性失語症」など3つのサブタイプがあるとされています。

?? 前頭側頭葉変性症に三タイプあるのでは??意味性認知症 前頭側頭葉変性症の一つ 言葉の意味がわからなくなる  進行性流暢性失語

前頭側頭型認知症の症状

特徴
  • 問題行動(万引きなど)
  • 周かい 同じことを毎日同時刻に繰り返す( 周かい行動・常同行動)
  • 環境に影響されやすい(被影響性の亢進)

 前頭側頭型認知症では、前頭葉に障害がでるため、物事を理性的に考えることが出来なくなります。そのため、愛想が悪く敵対的な態度をとったり、問題行動引き起こしたりしがちです。また、考えることが苦手になるため、言われたことを繰り返す「反響言語」や動作を真似する「模倣行為」を示すようになります。

 前頭側頭型認知症の患者は理性で行動を抑制できないため、状況を読まずに目についたものに即座に反応します。たとえば、人が話している最中に突然ごみを拾い出すなどの行為がこれに当たります。このように周囲の影響を受けやすくなることを「被影響性の亢進」と言います。

 脳の側頭葉には言語をつかさどる領域があるため、前頭側頭型認知症では言葉や文章の意味ができない語義失語の症状があらわれることがあります。語義失語では、言葉の意味がわからないため、「海老」をカイロウと読んでしまいます。また、ことわざの意味をたずねても説明することができません。

前頭側頭型認知症の診断

前頭側頭型認知症の治療

 残念ながら他の認知症と同じく決定的な治療法はありません。生活環境を整えたり、短期入院などによって問題行動に対処していくことになります。

よく使われる薬

メマンチン(メマリー)、抑肝散

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