アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは

 アルツハイマー型認知症は認知症全体の7割近くを占めています。アルツハイマー型認知症は、80歳以上の日本人の20%以上がかかっていると言われており、世界で一番多い認知症です。

 「アルツハイマー型認知症」は、変性疾患と呼ばれ、ベータやタウと呼ばれる異常タンパク質が脳の神経細胞にたまることによって神経細胞が死んでしまい、脳が萎縮していく病気です。初期には物忘れなどの記憶障害が現れ、徐々に悪化して見当識障害へと進みます。見当識障害とは、自分の置かれている状況を正しく認識することができない状態であり、日にちや時間、自分のいる場所、周囲にいる人々などがわからなくなります。

徴候

① 同じことを何度も言う
② 旅行などの大きな出来事を忘れてしまう
③ 約束事や物をしまった場所を忘れてしまう。
④ 道に迷いやすくなる。
⑤ 趣味や外出をしなくなる。
⑥ うつっぽくなる。
⑦ 怒りっぽくなる。

アルツハイマー型認知症の症状

 アルツハイマー型認知症の患者は、自分が認知症であるという「病識」が希薄です。しかしながら、自分自身の異変に薄々気が付いているため、家では不機嫌になりがちです。一方、外では愛想よく振舞い、自分の症状を取り繕おうとします。また、自信がないために、周囲の人に確認を取る「振り返り現象」がよく見られます。

特徴
  • 病識がない 違和感は本人も感じているため自信がない
  • 振り向き反応 家族や介護者に確認を取る
  • 取り繕い 言い繕い
  • 作話 記憶の断片からストーリーを作る
  • 近時記憶障害
  • 視空間認知障害

アルツハイマー型認知症の進み方

アルツハイマー型認知症の診断

 アルツハイマー型認知症の特徴的中核症状は、最近のことから忘れてしまう「近時記憶障害」と視空間の認識に異常をきたす 「視空間認知障害」 です。視空間認知障害のテストには、立方体などの図形を描く「図形模写」、時計と針を描く「時計テスト」、試験者が手指で作った形をまねる「手指テスト」などがあります。

アルツハイマー型認知症の治療

 もっとも患者数の多いアルツハイマー型認知症ですが、残念ながら根本から治療する方法は現在ありません。しかしながら、進行を抑制する薬が認可されています。

よく使われる薬
  • ドネペジル塩酸塩(製品名:アリセプト、ドネペジル)
    アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
    脳の活性化を引き起こし、無気力、無関心(アパシー)を改善。興奮するため、徘徊などが増えることがある。
  • ガランタミン臭化水素塩酸(製品名:レミニールなど)
    アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
    行動・心理症状(BPSD)の改善効果に優れる。
  • リバスチグミン(製品名:リバスタッチ、イクセロンなど)
    アセチルコリンエステラーゼ・ブチリルコリンエステラーゼ阻害薬
    生活機能の改善効果に優れる。貼り薬なので胃腸に対する副作用が少ない。一方、ひふかぶれなど肌に副作用が出ることがある。
  • メマンチン塩酸塩(製品名:メマリーなど)
    脳内の過剰なグルタミン酸を抑制する。
    攻撃性や興奮を抑制する。
  • 抑肝散、抑肝散加陳皮半夏
    興奮や攻撃性を抑制する。
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