骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

 骨粗しょう症は、骨の脆弱になり、骨折の危険性が増大する疾患です。ざっくり言えば骨がスカスカになって折れやすくなっている状態を指します。

 女性の場合、女性ホルモンであるエストロゲンが骨を丈夫にしています。閉経するとエストロゲンが低下するため、高齢になった女性のほとんどの方が骨粗しょう症のリスクを抱えることになります。

 骨粗しょう症になるとちょっとした転倒でも骨折してしまいます。また、特に転んだりしなくても、普通に生活しているだけで背骨が圧迫骨折を起こし、腰が曲がってしまうこともあります。

 骨折してしまうと日々の生活に影響します。し遊びに行くのも億劫になり、徐々に寝たきりになってしまいます。骨粗しょう症は生活の質を低下させるだけでなく、長期的には骨折の有無にかかわらず死亡リスクを有意に上昇させると報告されています。

 脆弱性骨折のある方は骨密度が若年成人平均値の80%未満、脆弱性骨折のない方は骨密度が若年成人平均値の70%未満を骨粗しょう症と診断します。

骨粗しょう症の原因

 原発性骨粗しょう症の成因は、骨のサイズや形状を決定する先天性素因や、閉経に伴う女性ホルモンなどの内分泌代謝の低下、栄養や生活様式などの環境要因が関与します。

 また、糖尿病などの生活習慣病や慢性腎臓病および慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、ステロイド薬やワルファリンなどの薬物内服によって骨粗しょう症になることもあります。このように特定の原因で起こる骨粗しょう症を続発性骨粗しょう症と言います。アルコール多飲者や胃切除後の方も骨粗しょう症になりやすいことが報告されています。

骨粗しょう症の自己診断

 まず自分でチェックしてみましょう。「はい」か「いいえ」で答えてください。「はい」が5つ以上ある場合には要注意です。

  • 最近背が縮んだり、背中が丸くなった気がする。
  • ささいなことで骨折した。
  • 家族に骨粗しょう症と診断された人がいる。
  • 体格は痩せ型である。
  • 閉経を迎えた。
  • 若いころから月経が不順であった。
  • タバコを吸っている。
  • 飲酒量が多い。

骨粗しょう症の予防

 中高年になると骨粗しょう症のリスクが急激に上昇します。以下の点に注意し、1日30分以上の歩行と筋力訓練を週に2回以上行いましょう。特に転倒予防には、週2‐3日以上の筋力訓練とバランス訓練が有用とされています。

  • 痩せすぎの方ほど骨折リスクは高くなります。適正体重の維持とやせすぎの防止が推奨されています。
  • 歩行を中心とした運動の日常的実施が推奨されています。
  • 喫煙者や常習的飲酒者は骨折のリスクが高いことが報告されています。禁煙を心がけましょう。また、飲酒はエタノール量で1日24g未満としましょう。

骨粗しょう症の予防と治療に効果的な食品

  • 乳製品、小魚、大豆などカルシウムを多く含む食品。
  • 魚類、きのこ類などビタミンDを多く含む食品。
  • 納豆、緑色野菜などビタミンKを多く含む食品。

骨粗しょう症の治療

 骨粗しょう症治療薬には様々な種類のものがあります。骨粗しょう症の状態や合併症の有無などによって医師が選択しますので、クリニックにご相談ください。

  • カルシウム薬
  • 女性ホルモン薬・SERM
  • ビタミンD
  • ビタミンK
  • ビスホスホネート
  • カルシトニン
  • 副甲状腺ホルモン
  • デノスマブ