糖尿病とは
糖尿病は進行しても自覚症状はありません。しかし、進行すると多くの合併症を引起こす大変恐ろしい病気です。したがって、糖尿病の恐ろしさを知るためには合併症について正しく理解することが必要です。
糖尿病の3大合併症
糖尿病を放っておくとさまざまな合併症によって人工透析が必要になったり、失明や足の腐敗が進行することがあります。症状によっては足を切断しなくてはならなくなります。
・糖尿病腎症
人工透析導入の原因第1位は糖尿病性腎症です。腎臓は血液中の老廃物や不要物を尿中に排泄し、血液の適正な環境を保つ役割があります。糖尿病が進行すると腎臓の働きが損なわれるため、機械に人間をつないで血液を抜き取り、老廃物を除いて体に戻してあげることが必要となるのです。
人工透析は少なくとも一日おきに行う必要があります。人工透析をしないと患者は尿毒症で死んでしまいます。
糖尿病腎症の初期には尿中にアルブミンというタンパクが漏れ出します。尿にタンパク質が出始めたら腎機能が低下している可能性があります。まず医師に相談してください。アルブミン尿の場合は、医師の指導のもと血糖コントロールに加え適切な食事療法やより血圧管理が必要になります。
・糖尿病性網膜症
糖尿病になると目の網膜が破壊され、最悪の場合は失明してしまいます。進行すると視力低下や視野の異常を自覚することもありますが、初期には自覚症状がないため、糖尿病と診断された方は定期的に眼科の検診を受けることをお勧めします。
・糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害とは糖尿病によって起きる神経の知覚障害です。神経が鈍くなるために肌に傷があっても気づかなくなります。糖尿病では血行が障害され、免疫力も低下しているため、このような傷から細菌が入り込んで感染が瞬く間に広がります。このような状態を糖尿病による「易感染性」と言います。感染の結果、足が壊死を起こし、腐ってしまい切断しなければならなくなります。
最初の傷は靴擦れや深爪などごく些細なものがほとんどです。糖尿病になったら入浴の際に足に傷がないか目で見て確かめるよう習慣づけましょう。
また、糖尿病では知覚神経以外に運動神経や自律神経も障害を受けます。これらの神経が障害を受けると、足の力が入りにくくなったり、こむら返りが起こりやすくなります。さらに、便秘や下痢を繰り返すようになり、血圧の調節バランスが崩れるため起立性低血圧(立ちくらみ)や勃起障害(ED)が起こります。
糖尿病自己チェック
以下の項目が3つ以上当てはまる場合はご相談ください。
- のどが渇く。
- 尿の量が多い。
- 尿の回数が多い。
- 体重が急激に減った。
- 全身がだるい。疲れやすい。
- 目がかすむ。
- 立ちくらみがある。
- 手足がしびれる。
- 手足が冷える。
- インポテンツ
検診を受けている場合は以下の値が正常値です。高い場合は糖尿病予備軍ですのでクリニックにご相談ください。
- 血糖値 空腹時120mg/dl以下 食後180mg/dl以下
- HbA1c 6.9%未満
- LDL-C 120mg/dl未満(冠動脈疾患がある人は100mg/dl未満)
- 血圧 130/80以下
- BMI 22以下
糖尿病の治療
糖尿病治療の第一選択は生活習慣改善です。適切な食事をとり、適度な運動を心がけましょう。クリニックでは治療の一環として食事指導も行なっています。また、喫煙は糖尿病を悪化させるため控えましょう。
生活習慣で改善が認められない場合にはお薬を飲む必要があります。また、場合によってはインスリン注射が毎日必要になります。