更年期障害とは
更年期障害になると、ほてり、発汗、手足の冷え、動悸、息切れ、疲労感、倦怠感、うつなどの症状がでます。この状態が長期間続くと骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞など命にかかわる病気の原因となることがあります
更年期障害の原因
更年期障害の症状は女性ホルモンであるエストロゲンの低下によって引き起こされます。エストロゲンは女性の生殖機能に必要なホルモンです。それだけではなく、丈夫な骨の維持にも欠かせません。さらに、脳にも作用してはつらつとした女性らしい考え方ができるようにしています。
エストロゲンの多くは卵巣でつくられますが、閉経をむかえるとエストロゲンが急速に低下します。
脳のエストロゲンが低下すると、ホットフラッシュとよばれる「ほてり」がみられるようになります。ホットフラッシュになるといつも身体があつく、汗をかいている状態が続きます。また、イライラして怒りっぽくなる、眠れない、などの症状や疲れやすい、やる気がしない、憂うつになるなどのうつ症状もみられるようになります。
骨のエストロゲンが低下すると、骨芽細胞と呼ばれる骨をつくる細胞と、破骨細胞と呼ばれる骨を壊す細胞のバランスがくずれて骨がスカスカになっていきます。この状態が骨粗しょう症です。骨粗しょう症がひどくなると骨が身体を支え切れなくなり、ちょっとしたことでも骨折するようになります。高齢のかたは骨折がきっかけで寝たきりになるケースも多く見られます。
さらに、エストロゲンは血管にも作用し、血管年齢を引き下げているため、エストロゲンがなくなると血管がもろく固くなり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の原因にもなります。
更年期障害は色々な病気の素地になるため怖い障害なのです。
更年期障害の自己チェック
まず、自己診断をしましょう。下記の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。「はい」が5つ以上ある場合には要注意です。
さらに、20代、30代でも月経が不規則な女性は女性ホルモンであるエストロゲンが低下している可能性があります。クリニックにご相談ください。
- 顔がほてる。
- 腰や手足が冷えやすい。
- 息切れ、動悸がする。
- 寝つきが悪い、眠りが浅い。
- 怒りやすくイライラする。
- くよくよしたり憂うつになる。
- 頭痛、めまい、吐き気がよくある。
- 疲れやすい。
- 肩こり、腰痛、手足の痛みがある。
更年期障害の治療
・ホルモン補充療法(HRT)
飲み薬、貼り薬、ジェルなどによって女性ホルモンを補充する方法です。過去にHRTによる乳がんの危険性についてメディアで取り上げられました。しかし、米国の研究や日本での厚生労働省研究班による調査で、HRTによって乳がんにかかりやすくなるわけではないことが明らかになっています。副作用として不正出血、おりもの、下腹部のハリ、乳房のハリや痛みなどが出ることがあります。
・漢方薬
更年期に現れる様々な症状は漢方薬で改善する可能性があります。漢方薬のよいところは複数の症状に対して効果があらわれることです。漢方薬はその方の体質や体格などを考慮して処方されます。その方にぴったり合えばすぐに効果が現れますが、合わない場合は全く症状は改善しません。その場合は他の漢方薬に切り替えます。
・その他
不眠や不安が強い方には抗不安剤や睡眠導入剤を処方する場合もあります。