ニコチン依存症とは
たばこをやめたいのにやめられないとしたら「ニコチン依存症」という病気の可能性があります。
たばこに含まれるニコチンは神経伝達物質でもあります、そのため、たばこを吸うとたばこの中のニコチンが脳の神経を刺激します。刺激を受けた神経は、快感を生み出す物質であるドーパミンを放出します。たばこを吸っているとドーパミンが出るので良い気分でいられるのですが、喫煙が続くとドーパミンが出ていないとイライラするようになってしまいます。このため、たばこがやめられなくなってしまうのです。
たばこをやめた方が良い理由
・病気のリスクが高まる
喫煙は肺がん以外にも以下のような多くの病気のリスクを高め、悪化させることが報告されています。
- 急性骨髄性白血病
- 喉頭がん
- 咽頭がん
- 口腔がん
- 食道がん
- 胃がん
- すい臓がん
- 腎臓がん
- 膀胱がん
- 子宮頸がん
- 脳卒中
- 抹消動脈疾患
- 腹部大動脈りゅう
- 慢性計測性肺疾患(COPD)
- 肺炎
- 低出生体重
- 妊娠合併症
- 不妊
- 乳幼児突然死症候群
- 糖尿病
- メタボリックシンドローム
- 胃潰瘍
- 骨粗しょう症
- 白内障
さらに、喫煙者本人だけではなく、家族や恋人、友人など周囲のひとの健康リスクも上げることになります。
・出費がかさむ
一日一箱を5年間吸うと100万円弱の出費となります。
・肩身がせまい
多くの場所が禁煙となり、喫煙場所を探すだけで一苦労です。また、電車や飛行機などでは長時間の禁煙を強いられます。最近では人前でたばこを吸うことはおろか、服がたばこ臭いだけで嫌われてしまいます。
とは言え、たばこを吸う至福のひとときの大切さも理解できますし、喫煙所でのコミュニケーションの重要性もわかります。健康には悪いし、周囲から煙たがられはするものの、絶対に禁煙した方が良いとは言い切れません。
ただ、もし、禁煙しようとしても出来ないのであればニコチン依存症の可能性があるのでクリニックの受診をお勧めします。
ニコチン依存症テスト(TSD)
以下の質問に対して「はい」を1点、「いいえ」を0点として合計点を計算してください。5点以上でニコチン依存症です。健康保険適用の対象となります。
- 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
- 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてたまらなくなることがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたが?
- イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲または体重増加
- 上記の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
- 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
- タバコのために自分に精神問題(神経質になる、不安、抑うつ)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
- 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
- タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?
禁煙治療は保険が適用されます
以下の条件を満たせば保険で禁煙治療が受けられます。満たさなくても自由診療は受けられます。満たしていたほうが安く治療できるのでチェックしてみましょう。
- ニコチン依存症テスト(TSD)で5点以上。
- 「1日のたばこの本数」x「たばこを吸っている年数」が200以上。
- 禁煙したいという意思があること。
- 禁煙治療(医師の説明)に同意していること。
禁煙治療の費用
標準的な禁煙スケジュールでは12週間(約3か月)、合計5回の診察が行われます。毎回一酸化炭素の濃度を測定し、禁煙のアドバイスや禁煙補助薬の処方を受けることができます。
費用は健康保険(3割負担)の場合、12週間で13000~20000円くらいです。だいたい、1日ひと箱吸った場合の一か月分のたばこ代くらいです。