アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が長期にわたって現れる病気です。乳児(2歳以下)では赤いジクジクした湿疹が頭、額、頬から出始めることが多く、ひざの裏側、手首、足首にもみられることがあります。
2~12歳ではひじやひざの裏側や、目、耳、首の周囲に赤い湿疹が現れます。皮膚全体が乾燥し、厚くなり、掻くと粉のように皮膚が剥がれ落ちます。
13歳~成人では顔や胸、首などを中心に湿疹が現れ、顔の赤みが目立つようになります。とにかく痒くて居ても立っても居られなくなります。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎はバリア機能が低下した皮膚がさまざまな悪化因子にさらされることによってアレルギー反応を起こし、その結果生じると考えられています。
このため、皮膚のバリア機能を損なうような行為や習慣はアトピー性皮膚炎を悪化させます。ひっかく、汗、乾燥、よだれ、石鹸、洗剤、衣服のこすれ、ダニ、ほこり、ペットの毛、細菌、カビ、卵、牛乳、小麦などの食品、ストレスなどはアトピー性皮膚炎の悪化につながります。
とくにかゆいために掻いてしまうとバリア機能のさらなる低下を招き、アトピー性皮膚炎が悪くなってしまいますので、かゆみを抑える治療が重要になります。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
幼いお子さんはアトピー性皮膚炎と食物アレルギーを併発することがあります。食物アレルギーの原因物質としては卵、乳製品、小麦などが多く、まれにアトピー性皮膚炎の悪化につながることもあります。
しかし、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーはまったく別の病気です。食物アレルギーは学童期に入ると多くのお子さんが治癒しますが、アトピー性皮膚炎の治療はさらに長期間かかる場合がほとんどです。
バランスの良い食事は子供の成長に不可欠です。アトピー性皮膚炎が悪化するからという理由で特定の食品をむやみに減らすことはひかえましょう。まず、医師の診断を受けアトピー性皮膚炎の治療をさきに行ってください。その上でどうしても必要な場合には医師と相談しながら原因食物を少しづつ制限していきます。
アトピー性皮膚炎を悪化させないために
- アトピー性皮膚炎では肌のバリア機能が低下しています。石鹸を使うときはよく手のひらで泡立てて、ゴシゴシこすらないようにやさしく洗ってください。
- 石鹸やシャンプーが残ると刺激となり、アトピー性皮膚炎が悪化します。よく洗い流しましょう。
- 入浴後は肌が乾燥しないうちにヒルドイドなどの保湿剤を塗りましょう。
- 爪はつねに短く切り、清潔に保ちましょう。鋭い爪で掻いてしまうと肌が痛む上に爪の汚れでアトピー性皮膚炎が悪化する可能性があります。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療はスキンケア、塗り薬、飲み薬を組み合わせてかゆみと皮膚の症状を緩和することを目標とします。アトピー性皮膚炎は成長とともに症状がでなくなる場合もありますが、基本的には根治が難しい病気です。しかし、継続的に治療を続けることによって症状を抑えることができます。悪化させないためにも根気よく治療を続けましょう。
・塗り薬
塗り薬の代表的なものにはステロイド外用薬とタクロリムス軟膏があります。
ステロイド外用薬は皮膚の炎症を抑える薬で、アトピー性皮膚炎の国際標準的治療薬です。症状がひどいときには強めの薬を処方し、その後、皮膚の状態によって弱い薬へと変えていきます。自己判断で医師の処方通り使用しないとかゆみや症状がぶり返しますので、医師と相談の上指示通りに塗布することをお勧めします。
タクロリムス軟膏は免疫を抑制し、炎症を抑えます。顔の症状に効果的ですが、塗り始めの数日間はピリピリ感があるかもしれません。しかし、数日でこの感覚もなくなります。タクロリムス軟膏は2歳以下の乳幼児には使用できません。
・飲み薬
飲み薬は抗ヒスタミン薬が一般的です。抗ヒスタミン薬は皮膚のかゆみを抑えるお薬です。アトピー性皮膚炎の治療には掻かないことが重要です。かゆみを抑えてアトピー性皮膚炎の悪化を防ぎましょう。抗ヒスタミン剤は皮膚がかゆいときだけでなく、続けて飲んだほうが効果があります。